診察室の片隅で一人静かに遊んでいる3歳の息子を眺めながら先生が言った言葉。この子は自閉症ですね。大きくなっても多分言葉も話さないでしょうし、着替えも出来ません。トイレも自分で行けないでしょう。目の前が真っ暗になったのを覚えています。赤ちゃんのときに愛情をかけないでほっておくと自閉症になるらしい。予防注射がいけないらしいよ。食べ物が原因らしい。あれから10年近く経った今、思い返すとあの頃が一番辛かった時期です。今、息子は着替えも出来ますし、トイレも自分で行けます。言葉もたくさん話します。学校も普通クラスで毎日楽しく通っています。あの突き刺さるような言葉の波は、いったい何だったんだろうと今でも思うことがあります。
当時、息子が自閉症だと発覚した時、まず自分に何が出来るかを考えました。自閉症という言葉さえ知らなかったので、インターネットで片っ端から検索しまくったのを覚えています。療育の先生のお話しもたくさん聞きました。息子の療育に付きそいながら先生がどのように指導し、どのような教材を使っているのかも観察しました。良いと思ったもの、自分でも真似出来ると思った方法は、どんどん活用しました。言語療育の先生から教えてもらった本の読み聞かせは、簡単で誰でも出来る方法でした。数ヶ月読み聞かせを続けて言葉がようやく出た瞬間、とても感動したのを覚えています。https://www.youtube.com/watch?v=cSFD9vFEFH0
自閉症児の親になるということ。大きな挑戦だと思います。親として悲観的になるのは、当たり前の心境です。感情はコントロール出来ません。ただ、自分に言い聞かせること、口に出して言う言葉はコントロール出来ます。あなたは本当に可愛い。親として私は幸せだ。そうしていると、悲観さが少しずつ小さくなって、良い方向に向かっているんじゃないかなって思えてくるのです。